チュニジアのお金事情
今回はチュニジアのお金にまつわる内容をご紹介します。
まず、チュニジアの通貨についてです。チュニジアに来て驚いたことの一つがチュニジアの通貨でした。
通貨はディナール、補助通貨としてミリームがあります。
1ディナール=1,000ミリーム(約47円、2023年10月現在)で、例えば10.568ディナールのように、小数点以下3桁まで用いられます。
電気・ガス代、水道代、業者からの請求書、銀行口座残高など、1ミリーム(0.001ディナール)単位で記載されますが、市中で流通している通貨の最小は5ミリーム(0.005ディナール)硬貨で、その硬貨自体が非常に稀です。
それより少ない1ミリームや2ミリームといった硬貨そのものがないのに、金額としては存在するという不思議さがあります。
実情としては、小切手支払や銀行送金では1ミリーム単位で支払い可能であるとともに、市場やスーパーなどでの現金のやり取りでは小さなミリームは気にしないのか、1ミリームや2ミリームといった小さな金額の硬貨そのものが流通していなくても、不自由することはありません。
(写真1)
次に、モノの値段について、スーパーでの買い物など日々の生活の中で、しばしば価格の値上がりを感じます。
実際に過去の買い物記録を調べてみたところ、1.5ℓのミネラルウォーター(ブランド名「SAFIA」)は、昨年の今頃は0.590ディナール(約27.7円)でしたが、直近では0.695ディナール(約32.6円)に値上がりしていました。
統計上は、チュニジアのインフレ率は9.4%[1]、食料・飲料(アルコールを除く)は約15.1%[2]とされており、物価高騰が家計を圧迫することが容易に想像できます。
一方で、失業率は15.61%、女性の場合は21.2%に上っています[3]。
日本の2023年8月の失業率2.7%[4]と比較すると、チュニジアの失業率の割合がいかに高い数字かがわかります。
昨今の物価高騰を踏まえると、チュニジア国内では仕事の確保や収入の確保が非常に重要であると考えられます。
(写真2)
最後に余談ですが、先日私の働くオフィスで、スタッフのお祝いのためにみんなからお金を集めようとした時のこと。
チュニジア人の一人のスタッフに、チュニジア人スタッフ全員分のお金の徴収をお願いしたのですが、その後、わざと咳き込む様子を見せ、周りのスタッフらが面白そうに笑っていました。
どうしたのかと気になって聞いてみたら、チュニジアには、人にお金を要求するときは「ゴホゴホ」と咳払いする慣習があると教えてくれました。
言いづらいこと、頼みづらいことをあえて非言語で相手に意図を伝えようとするところは日本人とも共通するものがあると感じた出来事でした。
[1] IMF、2023年 https://www.imf.org/external/datamapper/profile/TUN
[2] L'Institut National de la Statistique、2023年1〜9月平均 https://www.ins.tn/statistiques/90
[3] L'Institut National de la Statistique 、2023年第二四半期 https://www.ins.tn/statistiques/153
[4] 総務省、2023年8月 https://www.stat.go.jp/data/roudou/sokuhou/tsuki/index.html
(中小企業診断士 小林千尋)