チュニジアの水事情
チュニジアの首都チュニスは温暖な地中海性気候のため、夏はほとんど雨が降りません。
今年は初夏ごろからチュニジア国内のダム貯水率が30%前後と続いたこともあり、上水道を管理する水資源開発公社(SONEDE)は国内の水供給を一部制限しました。
これを受けて、市内では夜から早朝などにかけて、連日断水が続くことがありました。
(写真1)夜トイレに入って手を洗おうとしたら、蛇口から水が出てこないこともしばしば…
チュニジアの中でも都市の水道水は飲料可能と言われていますが、飲料用にはミネラルウォーターが望ましいと言えます。
ペットボトル入りのミネラルウォーターは、地元の売店やスーパーマーケット、さらにはフランスの大手小売業者のCarrefourやMonoprixなどのネット通販でも手に入れることができます。
夏場になるとミネラルウォーターの消費量が増えるため、小売業者らは一人あたりが購入可能な本数を制限し、消費者は十分購入できないこともあるので、注意が必要です。
価格は、1本1.5ℓあたり0.6〜0.7ディナール(約30円、1ディナール=47円とした場合)ほどです。
(写真2)大型スーパーマーケットのミネラルウォーター売り場の様子
(写真3)国内には国産の様々なブランドが売られており、これらはごく一部。ロゴやペットボトルの形も多種多様
こうしたミネラルウォーターを飲んだ後に出るのが、ペットボトルごみ。
ペットボトルをはじめとするプラスチックごみは、回収すると換金できるため、回収業者らが家庭用のごみからペットボトルを定期的に集めにきます。
プラスチックごみの回収は、1日働いても平均約10ディナール(約470円)。
季節によってkgあたりの販売価格に変動があり、去年の冬場にペットボトル25本以上相当の1kgが1.5ディナール(約70円)だったところ、今年の夏はたったの0.4ディナール(約19円)だったとの記事もあります(※)。
チュニジアでは、日本のようにごみの分別が十分になされず、可燃ごみやプラスチック類、資源物などが混ざって捨てられることがしばしば。
そのような中で、ペットボトルなどの換金できるごみ回収によって生計を立てている人たちがいることもまた事実です。
(写真4)各家庭から出るごみの中からペットボトルを集める人たち
(中小企業診断士 小林千尋)